とろみ剤が必要な理由

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1番よく説明する、1番質問の多いとろみ剤の使用についてです

とろみ剤とは、その名の通り水分にとろみをつける粉末状のものなのですが、多くの嚥下障害の方にとってあると便利なものです。

ではどうしてそんなものが必要なのでしょうか。

水分は通りやすいから飲み込みやすいと思いますよね?

みなさんは、上を向いてペットボトルから勢いよく飲んでムセた、といった経験はありますか?

感覚的に言うと、嚥下障害の方は普通にコップから飲んでも常にそんな感じになってしまうイメージ。

そもそもムセるということは、口から入ったものが食道ではなく、間違って空気の通り道である気管の方へと流れていくのを何とか防ごうとする反射です。

だからムセること自体は悪いことではないし、普通の人でもムセるわけです。

ただそれが頻回なら、何かがおかしい訳です。

通常、ごっくんをするとき喉仏が一瞬上へ動きます。

普通ならこの動きで、気管を守るようにフタのようなものがされて二重三重にも守られる仕組みになっています。

それが何らかの原因でうまく機能しなくなると、嚥下障害としてあらわれるわけですが、

良いタイミングでその「フタ」が閉まらないとかいうことになる。

(厳密に言うと閉まるとはちょっと違うのですが、防御するということです。)

嚥下障害の方は飲み込めても、喉の反応が遅れたり、防御が不十分だったりすることで気管にものが流れやすくなってしまう。
だから、さらさらしている水分などは飲みやすそうにみえて危険というわけです。

そこで、とろみ剤の出番

反応が遅れて防御が間に合わないのだったら、とろみをつけて流れるスピードを落せばいい。

簡単に言えばそういうことなのです。

ただ、とろみの濃さもそれぞれですし、濃ければいいというわけでもありません。

しかも、多くの嚥下障害の方に有効なとろみですが、とろみ剤を使った方が上手く飲み込めなかったり、むしろムセやすかったりする、というケースもあります。

その方によって嚥下障害のタイプもそれぞれです。

言語聴覚士や専門職のサポートを受けて、便利な商品もうまく活用していきましょう。