嚥下障害リハビリで直面する難しさ
リハビリでは、摂食嚥下障害のある患者さんの訓練が多くを占めます。
食べることが難しくなる理由は様々です。
脳卒中や加齢による筋力低下、舌や咽頭・喉頭の手術後などの器質的要因、
さらに認知機能低下や薬の副作用も関わります。
私たちは患者さんの「食べる力」を評価し、食事形態や姿勢、環境、味付けなどを工夫しながら、日々試行錯誤して支援しています。
Hさんとの出会いと課題
以前担当したHさんは60代で、過去に軽度の失語症を経験されていました。
リハビリにより元気に退院されましたが、翌年再度脳出血。
歩ける状態でしたが高次脳機能障害があり、再び担当することに。
その後2週間で再出血し、戻ったときにはベッドから自力で起き上がることもできず、ほとんど言葉も出ない状態でした。
ご主人の願いと訓練の工夫
ご主人は毎日面会に来て、妻にもう一度口から食べてもらいたいと願っていました。
私も以前のHさんの姿を知っていたため、「食べる喜びを取り戻してほしい」と訓練を続けました。
しかし冷たいもので刺激しても、誤嚥リスクが少ない食品を試しても、ほとんど飲み込めない状態が続きました。
氷で見つけたきっかけ
Hさんは意識的に飲み込むのが難しく、動作が止まることがありましたが、氷を口に入れると「ボリボリ」と噛み、飲み込むことができました。
機能が悪いわけではなく、きっかけがあれば口から食べられるのです。
「ふんわり名人」との出会い
ある日、伯母から届いた荷物に入っていた「ふんわり名人」。
「これならいけるかも!」
口の中で溶けるやさしい口どけで、飲み込めず残っても安全に取り出せるお菓子です。
Hさんの手に持たせ、私も目の前で食べて見せると、ちゃんと噛んで飲み込むことができました。
感動の瞬間
何度か続けると、Hさんは自ら手を伸ばしてお菓子を差し出すこともありました。
その瞬間、胸が熱くなり、思わず涙が出そうになったのを覚えています。
感動を伝えたくて越後製菓に手紙を書いたところ、会長まで届き、丁寧なお返事と新商品のお試しが届きました。
ふんわり名人をリハビリの味方に
「ふんわり名人」は嚥下訓練のツールとして活用中。
すべての方に安全とは限りませんが、食べる喜びを思い出すきっかけとして最適です。
甘すぎず、原材料にもこだわり、小さなお子さんからお年寄りまで安心して食べられます。
見かけたらぜひお試しください。
注意事項
ふんわり名人は比較的食べやすいお菓子ですが、摂食嚥下障害の程度は人によって異なります。
医師・言語聴覚士など専門職と相談の上で提供してください。
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