おいしさと嚥下の関係①
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おいしさと嚥下の関係｜「美味しい」がリハビリを変える
嚥下訓練で大切にしたい「おいしさ」の力
病院や施設、在宅医療の現場で、言語聴覚士（ST）が関わる仕事の中でも、食べることが難しくなった方への訓練は大きな割合を占めます。
原因は脳卒中や加齢による筋力低下、舌や喉頭の手術後などの器質的要因、さらに認知機能の低下や薬の副作用などさまざまです。
私たちは、今の「食べる力（嚥下機能）」を評価し、食事形態や姿勢、環境、味付けなどを工夫しながら支援しています。
「安全に食べる」だけでは足りないと思ったきっかけ
学生時代、ある先生が「言語聴覚士の仕事は“安全に食べられるようにすること”」と話していたことに、違和感を覚えました。
その理由が分かったのは臨床3年目の頃、ある嚥下セミナーでのことです。
「美味しい」が飲み込みを助ける──2-AGの研究から
高辻華子らの研究（日薬理誌, 2015）では、嚥下反射の誘発に内因性カンナビノイド（2-AG）が関与していることが示唆されています。
つまり、「美味しい」と感じながら食べると嚥下中枢が活性化し、飲み込みやすくなるということです。
味を感じるのは舌だけではなく、咽頭（のどの奥）にも味覚が存在します。
ビールの「のどごし」のように、おいしさの刺激が“ごっくん”を起こしやすくするのです。
嚥下リハビリで大切なのは「おいしいと感じること」
言語聴覚士の仕事は単に「安全に食べる」だけでなく、その人が“おいしい”と感じられるよう工夫することも重要です。
近年は、嚥下障害に配慮した介護食が進化しており、自然な美味しさを再現しようと企業が努力しています。
このブログでも、このような商品を色々とご紹介できればと思っています。
まとめ
- 「おいしさ」が嚥下を促す重要な要素
- 「安全」だけでなく「楽しさ」や「味覚の刺激」も大切
- 介護食・リハ食の進化で、誰もが“おいしく食べる”ことを諦めなくてよい
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