誤嚥性肺炎と口腔ケア|食べていない時ほど大切な理由

口腔ケアは誤嚥性肺炎を防ぐための、欠かせないケアです。
食べていない方でも、唾液誤嚥により肺炎を繰り返すことがあるため、
「食べていない=ケア不要」は大きな誤解です。
突然ですが、みなさんは一日に何回歯磨きをしますか?
昼は忙しくて、という方でも朝から晩まで一回もしないという方は少ないと思います。
一日中飲まず食わず、まったく口をゆすがない状態が続くことは、健康な生活ではまずありません。
つまり、口の中は常に汚れや細菌と隣り合わせなのです。
口腔ケアは「食べていなくても」必要なケア
「食事をしていない=誤嚥しない」と思われがちですが、
実際には寝ている間に微量な唾液誤嚥が起きています。
健康であれば免疫力が対処してくれますが、
高齢者や体力が低下している方では炎症に至り、
誤嚥性肺炎の原因となることがあります。
食べていない時こそ、細菌が増えやすく、
口腔ケアの重要性が高まります。
誤嚥性肺炎と口腔内細菌の関係
誤嚥性肺炎は、食事中に食べ物を誤嚥した場合だけでなく、
口腔内の細菌を含んだ唾液などが誤って気管に入り、肺で炎症を起こすことで発症します。
反射が弱く、むせが出にくい方ほど、
知らないうちに肺炎のリスクが高まります。
※むせのしくみについては、とろみ剤の記事もあわせてご覧ください。
口腔ケアがもたらす効果
・口腔内の細菌を減らし、肺炎予防につながる
・乾燥や痛みを防ぎ、口の状態を整える
・不快感・悪臭を軽減し生活の質向上
食べていなくても、
口は常に細菌の入口であり、肺炎の引き金になり得る場所です。
まとめ:口腔ケアは“命を守る最低限のケア”
口腔ケアは「できれば行うケア」ではありません。
誤嚥性肺炎を防ぐために必ず行うべきケアです。
「食べていないから必要ない」という誤った認識が
誤嚥性肺炎を見過ごしてしまう原因にもなります。
毎日のケアを継続することが、
その方の命を守る最も基本的な支援です。
次回は、現場でも家庭でも使いやすい口腔ケアグッズをご紹介していきます。
